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14.東偏1度の基軸に合わせた別の配置を仮想してみる [武蔵国分寺の不思議を探る(テキスト版)]

Ⅱ.草創期の区割りと配置

14.東偏1度の基軸に合わせた別の配置を仮想してみる
14.jpg

①オレンジ:塔と真姿の池湧水を結ぶ中軸線(東偏1度)上に金堂・講堂を並べた配置図
②水色:塔と真姿の池湧水を結ぶ中軸線(東偏1度)と平行に中枢部中軸線を引いた配置図

機能と景観・中軸線を傾けたわけ
①を採用できない理由として考えられること:
・崖線の南100mあたりを流れる元町用水に沿って土地が最も低く、その南の元町通りに向かって中華鍋の底から縁に向かうような地形になっている。湧水の南側、現在の元町通りまでの150mほどは湧水による浸食を受けており、本格的な建築物が建てられない湿地だったと思われる。
・寺院経営の台所にあたる「大衆院:廚屋(くりや)、竈屋(かまどや)、維那房(いなぼう)、井屋、碓屋(うすや)」や「水源管理部署」はなるべく水源に近づけなければならないが、塔の北側に中枢部を置けばその背後はすぐに湿地帯となり、「大衆院」や「政所院:寺務を行う施設」を置くスペ-スがなくなる。
・「大衆院」「政所院」を置くために塔をさらに南に置けば湧水と塔は400~500mも離れてしまう。崖線の表情がわかる距離は350m位までといわれているが、その範囲をはるかに超えてしまい、塔と崖線の景観的意味が失われる。
・水を使う「大衆院」を塔の北側に置くことを優先し、中枢部を塔の西側に移す以外になかった。

②を採用できない理由として考えられること:
・崖線が「開いた扇の縁」のように湾曲しているため、水色の線では丘の連なりに対して斜めに入角してしまい、参道から眺めた景色が格好悪くなる。これは現地に立ってみるとよくわかる。

以上から、斜めの中軸線は機能と景観の両面重視でデザインされたプランだったことがわかる。

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