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03.七重の塔と湧水の関係 [武蔵国分寺の不思議を探る(テキスト版)]

Ⅰ.七重の塔を巡る方位線上に区割りと配置を読む

03.七重の塔と湧水の関係
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崖線の裾野に釈迦三尊像のように並ぶ3つの湧水を背後に均等に背負える場所が選ばれて塔が建っている。太陽が南中する頃、塔の影の先端はまっすぐに真姿の池湧水を指す。塔はさながら巨大な日時計だ。夜、北極星は北の玄武・懐に泉を抱く丘の上に輝く。武蔵国広しといえどもこんなロケ-ションは滅多にないだろう。

塔の背後に並ぶ3つの湧水
七重の塔跡に残る礎石の並びを見る限り、塔はその背中にほぼ真北を背負って建っていたはずだ。7度西偏の僧寺中枢部中軸線とは明らかに方向が異なる。
塔のほぼ真北には「真姿の池湧水」がある。地図上で七重の塔跡から「真姿の池湧水」の方向を測ると、真北からおおよそ1度東に傾いている。この「七重の塔跡」と「真姿の池湧水」を結ぶ東偏1度線を基軸として30度刻みに方位線を描いたのが左の地図だ。
「万葉植物園湧水」は「真姿の池湧水」の西約200m、「リオン下湧水」は「真姿の池湧水」の東約200mの北西に窪んだ崖の奥まった場所から湧出している。塔との位置関係を見ると「真姿の池湧水」と七重の塔を結ぶ線から西に30度の線上に「万葉植物園湧水」が、そして東に30度のやや内側に「リオン下湧水」がある。
3つの湧水はいずれも寺院地に取り込まれており、真姿の池湧水を中心としてさながら釈迦三尊像のように並んで七重の塔の背後に控えている。この湧水と塔の位置関係は偶然ではないだろう。

最初に塔の位置が決定されている
塔がもっと北に寄れば両側の湧水への角度は30度より開き、塔がもっと南に下がれば角度はしぼむ。まさに絶妙なバランスで湧水を背負う一点が選ばれて塔の位置が決定されている。ただし、両翼の湧水を約30度に捉えられるエリアは、東西方向に100m近く幅がある。真姿の池湧水を真北に捉える位置(今より少し東)に塔を置いてもこの関係は成立する。ならばなぜ基軸を1度東偏させたのか、その理由が富士山との位置関係にありそうだということを次項で話そう。

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